音楽と本

『千住家にストラディヴァリウスが来た日』

本の話は本館の方でアップすることにしているのですが、
音楽に関する本だったので、こちらにも。

『千住家にストラディヴァリウスが来た日』 千住 文子

ヴァイオリニストの千住真知子の母が語る。幻のストラディヴァリウスを、千住真理子が自分のヴァイオリンとするまでのドキュメント。

芸術家3兄妹と家族の固い結束が素晴らしい。
母は次男をセンチメンタルと語るが、お母さんも相当にロマンチストだと、読みながら思った。
どこまでも筋の通った、それも太くて強い筋の通った生き方に、こちらもカツが入る。
それは亡くなった3兄妹の父の考え方でもあり、また家族で培ってきた生き方でもあるのだ。

千住真理子は中学生でプロになってしまったために、受けなくてもいい苦しみや、大人社会の汚さにさらされていたらしい。詳しくは語られていないが、ただ単に音楽が好きなだけの身としては、複雑な気分だ。どんな社会にもあることなのかも知れないが。

後半、購入に備えてのミーティングのため、母が室内を整頓する。ところが、片付けたはずのテーブルが、古新聞の包みや古箱などで散らかっている。「きれいにしたばかりなのに」と怒り心頭の母に、兄・明が飛んでくる。そして語った言葉に、思わず涙が出た。
音楽好きの方には特におすすめの本です。

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音律と響きの不思議・①・吹奏楽を聴いて思ったこと

先日、吹奏楽の演奏を聴く機会がありました。

自分の中学生の頃を思い出して、とても懐かしい気持ちになりました。

私の出身中学校はクラブ活動が盛んでした。吹奏楽部もその例に漏れず、
放課後練習は毎日、土曜日は弁当をもって夕方まで、日曜日は朝から夕方まで。
夏休み・冬休み・春休みは、土日関係なく朝から夕方まで。
本来休みと決められているお盆と正月にも休みを一部返上して・・・といった毎日でした。
給食がなかったので、母はそれこそ365日お弁当を作り続けてくれたのです。母は本当に大変だったなあ、今更ながらにありがたいと思います。


吹奏楽にロングトーン(ひとつの音を長く伸ばす)はつき物です。
全員でB♭(シ♭)の音をロングトーンで吹いていると、F(ファ)やD(レ)の音が聴こえてくることがよくありました。
その当時は友人達と「誰も出していないよね?」「不思議だね」と話しながら、その3和音の響きの美しさにひたっていました。

ひとつの音には必ず倍音が含まれています。
音の高さは波長で決まります。ある音の2分の1の波長の音ならば、1オクターブ高い音となります。
例えば、ドの音にはド・ソ・ド・ミ・ソ・シ♭・ド・レ・ミ・ファ♯・ソ・ラ・・
が含まれています。

ピアノで低音のド(じゃなくてもいいですが)の音を、ぺダルを踏んだままフォルテで弾き、しばらくするとハ長調のⅠの和音(ドミソ)の響きが聴こえてきます。これが倍音の響きです。

吹奏楽でロングトーンの時に聴こえてきたのも、この倍音だったのです。

それまでもピアノは習っていました。しかし、このロングトーン体験が、音や音楽というものに興味をもった最初の一歩だったのだと、懐かしくまた大切に思うのです。




ところで、
音の調律の仕方にはいろいろな方法があります。
上で倍音について書きましたが、
ある音・・・仮にドとしましょう。ドの2分の1の波長の音は1オクターブ上のドです。
波長を3分の2にするとソになります。
4分の3でファ、5分の4でミ・・・以下続けてゆくとハ長調のドレミファソラシドの音階を作り出すことができます。
このように純粋に波長だけを基にした音律が純正調です。
純正調のドミソの和音はブレがなく美しい響きがします。
但しこの方法だと転調ができません。派生音(♯や♭)を作り出そうとすると、少しづつ誤差が生じてしまうのです。

そこで、1オクターブを平均に12に分けて調律する平均律が考え出されました。

平均律の場合、どの音も、純正調とは僅かずつずれがあるため、完全に透き通るような響きはしません。
しかし、それを補って余りある利点があります。音楽の幅を格段に広げることができるのです。
派生音を使う。黒鍵を使う。転調する。移調する。これらは7音(ハ長調ならばドレミファソラシド)だけではできません。

音を出すための方法はその楽器によって違います。
ピアノは弦をたたいて発音します。一回音を出すたびに(ひとつの鍵盤の)音の高さを変えることはできません。なので、ピアノは平均律音律の楽器です。
声は自分で高さを決めることができます。一音ごとに微調整が可能です。
吹奏楽器・・・私が吹いたことがあるのはホルンとサックスですが、息の強さで音の高さを変えることができるので、こちらも微調整が可能。
弦楽器も抑える位置で微調整ができますね。

微調整が可能な楽器の場合、必要な時には純正調の(あるいは最も美しい)響きで奏し、必要な時には誤差を修正し・・・と言うことができるのです。
それだけ、正しい音程を出すことが難しいわけですね。

ウィーン・フィルの奏者が、曲の中の個々の音が何調の何の和音の第何音かと言うことを常に意識して演奏しなければならない・・・と言ったということを、以前何かの本で読みました。あまりのすごさに目がくらみました。
ヘタレピアノ弾きの私には想像もつきません。



大学時代、音律に関する授業で、面白い実験がありました。
順にド・ソ・ミの音を聴きます。回数は2回。
最後の「ミ」だけは少し高さが違います。
さいごの「ミ」を純正調音律と平均律の2種類で鳴らすのです。
(この段階で、どちらが純正調か平均律かは知らされません)

私には、一方は低く、一方は正しい高さに聞こえました。
しかし、私が低いと思った音が正しい高さで、私が正しいと思った音が高すぎると感じた人もいました。
ピアノ耳の私には、平均律が正しく聴こえたのに対し、
ヴァイオリンや声楽の人には、純正調音律が正しく聴こえたのです。
(もちろん、ピアノの人にも純正調が心地よかった人もいましたし、歌の人で、平均律が心地よかった人もいました。)

上で述べたとおり、和音を響かせる時、純正調のほうがブレがなくすきとおった響きがします。
合唱で、ドミソの和音を響かせた時、ミの音は少し低めにとると響きが良くなると指示されたときには、なるほどと思ったものです。
(続く。続きには「指輪物語」が出てくる予定です。興味がない方、ごめんなさい。本好きの業なのです・笑)

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「モーツアルト2台のピアノのためのソナタとフーガ」の(!)

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↓の記事で話題に出していた「モーツアルト2台のピアノのためのソナタとフーガ」の楽譜をゲットした。(写真をクリックすると大きくなります。よろしければどうぞ)
(バックはウン十年選手の私のアップライトです)

早速開いてみる。


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ここが「たった2小節でまちがえるな!」「ぎゃぼー!」の冒頭部ね。
このラをシ♭に間違える方が難しいのではないか、やはり天才は違う、間違い方も天才的だ・・・などと思いつつ、とりあえず第1ピアノを音出ししながらページを繰ってみる。

第1楽章の終りまで来る。
第2楽章は・・・3拍子か。パラパラとめくると・・・

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へ?
また表紙??
(次を開くとまたしても1楽章の冒頭部が)

をををを

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楽譜が2冊に分身の術~~

これってやっぱり・・・殴られ用??(ぼかっ いてっ)


2台ピアノの楽譜を買ったのは初めてなのです。
連弾は何度も奏った。左がセカンド、右がプリモだから楽譜は1冊。
歌伴(声楽の伴奏)だったら、大抵歌の人からコピーをもらっていた。
2台ピアノって楽譜が2さつ入っているのね♪
そりゃそうだ。2冊なかったら2台のピアノで弾けません。
新たな発見にぎゃぼー♪だったのでした。
(あまりにもおバカな私・・・)

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